和歌山市立四箇郷小学校

小学校/算数・理科・英語

授業の密度が上がり
学ぶ姿勢も意欲的に

和歌山市立四箇郷小学校の岩崎朝蔵教諭は、理科や算数、小学校外国語活動などで実物投影機を活用しており、そのアイディアあふれる活用方法が学年全体に広がったという。簡単な準備で素早く提示することができ、児童の視線を集中させて、学習意欲を高める効果があった。

岩崎朝蔵教諭
皆が同じ卵を見ながら観察できるため、学習のポイントなど全員に等しく伝えたい内容がてっていできる

理科 実物投影機×顕微鏡なら メダカの卵の観察 毎日 ・ 一斉に . 全員で

理科「メダカの卵の成長の観察」(動物の誕生)の授業で毎日、アバーメディア・インフォメーションの実物投影機を使い、クラス全体で観察日誌づくりに取り組んでいる。

メダカの卵が孵化していく様子を観察するため、顕微鏡に「実物投影機」のカメラヘッドを限界まで近づけると、黒板には水中で日々成長する卵の映像が鮮明に映し出された。

「顕微鏡を使ってメダカの卵を観察することはグループ学習の中でも行えますが、一人ひとりが毎日卵の成長を観察するには、顕微鏡の数も時間も足りません。実物投影機を活用することで、毎日の細かな変化を全員で一斉に確認したり、保存しておいた成長の記録を呼び出して変化の過程を順番に振り返ったりするなど、顕微鏡だけでは実現できない授業ができました。顕微鏡を使ったグループ観察の前後に、実物の卵を投影して学習のポイントを解説できたのも効果的でした」

教科書や資料を使った説明では集中できなかったり、グループ学習には消極的になったりする児童も、大きく映し出された1つの卵を見ながら話し合うようになると、視線が定まり、積極的に活動に参加できるようになったという。

胚体が変化し、頭部には眼が、胸部には体節などが形成される様子が明確に確認できる

英語 フラッシュカードでクイズ

算数の授業「直線の交わり方を調べよう」では、垂直や平行な直線、合同な図形の書き方など作図の学習場面で活用。指導用の大きなコンパスは、教師が作図を演示する際には問題ないが、皆の前で児童が自分の作図方法を発表するには使い勝手に難がある。

「児童どうしで学習を進めるには、普段から使っている紙・鉛筆・定規などで簡単に提示できる環境を提供したい。慣れていることもあり、自分なりの作図方法を積極的に発表する児童が増えました。児童が黒板で大きな道具を使って示すことも行っていましたが、実物投影機を使う方がよりわかりやすかったようです」

外国語活動では、自作のフラッシュカードを、「実物投影機」を通して拡大投影。机の上においてあるフラッシュカードを部分的に隠すことで、授業が即興の単語当てクイズになる。大きく映し出すことができるので、小さなカードでも教室後方の児童からもよく見える。児童の集中力も上がり、授業も盛り上がったという。

他クラスにも拡がり

日々の授業で「実物投影機」を使っていく中で、児童や周囲の教員にも変化が生まれてきた。

「教科書や資料を使って説明しても、なかなか授業に集中できなかった児童が黒板に示された画像や資料には興味を示し、積極的に参加するようになりました。授業中に提示したいときにはいつでも簡単な準備で素早く提示することができて大変便利です。児童の視線を集中させ、学習意欲を高めるのにも効果がありました。そうした様子を見て別の学級の先生も効果を感じたようで、今は学年で活用しています」

ここがポイント!

高い解像度は観察眼を育み、生物への興味を向上する

まず、メダカの卵を画面いっぱいに大写しにできるといった高い解像度に驚かされます。「メダカの卵の観察記録」を実物投影機で撮影しながら、これまでの成長過程・変化を捉えさせていることも、観察眼を育み、生物への興味を向上させていると思います。もうひとつ、「授業に集中できなかった児童が積極的に参加するようになった」というポイントに注目したいのですが、これはICT活用授業を導入した多くの学級で聞かれます。指導の難しい子どもに対して、こういった目に見えてはっきりとわかる成果が出たという事例は、広く共有する価値があるといえるでしょう。